受験×勉強×塾

初めまして!学習塾の中で教育に携わる「現役塾講師」の一人として、受験関係の話を中心に、塾の先生としてのあり方や良い塾の選び方、また勉強の方法などを日々考えています。自分にとっての戒めにもして日々精進…!記事タイトルの「」は塾業界等、『』は塾のリアルについて書いています。

「臨海セミナーとステップとコロナ」×「全国学習塾協会の存在」×「約1%の意見」

色々な疑問は残ったままですが、

ステップ含む19社に臨海セミナーが告発された騒動も一旦落ち着きを見せ、

いよいよ冬期講習を迎える季節。

先日川崎の湘南ゼミナールでもクラスターが発生したように、

コロナは収まるどころか感染は拡大中。

下手をすると入試に向けた最後の「追い込み」が出来ない可能性もあるので、

中学受験の生徒・保護者にとってはとても不安な残り40日弱だと思う。

出来ることなら何事もなく受験シーズンを迎え、合格を勝ち取ってほしい。

これはもう「祈る」のみだ。

 

 

塾としての対応基準の指標になるものが、

国学習塾業界が5月に出したものが実は存在する。

そこでは「感染の状況別の対応方針」として4段階に分けて設定されている。

 

①国内で感染が発生した時期

 ・感染拡大防止対策の検討・実施

 ・拡大機に備え、オンライン授業、テレワーク等の検討・実施

②増加・まん延している時期

 ・休業の検討・実施

 ・対面授業を最大限控え、オンライン授業を実施

 ・テレワーク等により、人と人との接触機会を減らす

③新規感染者数が限定的になった時期

 ・引き続き感染拡大防止対策の実施

 ・オンライン授業の実施に加え、少人数授業などの対面授業の再開を検討・実施

④再び増加している時期

 ・②の方針に戻る

 

とまぁこんな形で設定されている。

②の状況にあたる、

緊急事態宣言や都から100㎡以上の塾への休業要請が出た頃を思い返してみると、

対面授業をやめ、オンライン授業への移行は確かに増えた。

結局校舎にはいかないといけないから接触機会が減ったとは言い難いが、

通常時に比べれば別校舎の先生たちが集まっての会議などは減っていたことを考えれば、

体裁は保てていたかなぁと思う。

 

そして緊急事態宣言が解除され、少しずつ経済を戻そうという動きも出てきて、

休業要請もなくなり、学校が分散登校を始めた頃から③の状況になった。

これは分かる。

何度もいうように、塾も営利企業だからずっと休業していたら会社は潰れる。

だから生徒・保護者から求められている「対面授業」をしようという判断は正しい。

 

 

問題はここからだ。

先にも述べた通り、明らかに今、コロナの人数は増えている。

つまり④の状況に他ならない。

 

しかしながら夜遅くまで塾の電気はついているし、

塾帰りの子どももよく見かける。

そして「冬期講習」のチラシを見てみる。

・・・「休業の検討・実施」「対面授業を最大限控え、オンライン授業を行う」

という対応をしている塾が増えているようには見えない。

 

 

 

つまり、結局この方針は守られていない。

何のために作ったものだろう?と思ってしまう。

最低限加盟している塾は、この方針に従う責務があると思うのだけど。

 

ここで気になって、

どのくらいの塾が加盟しているのかをちょっと調べてみた。

そうすると早稲アカや栄光、森塾、ena、スクールIEといった塾を始め、

東京で50弱、全国で350弱の塾が加盟している事がわかった。

ちなみに全国の学習塾は経済産業省の平成30年度の調査によれば、

全規模で見て単独事業所が約31000、本社が約2400くらいなので、

ざっくり33000の塾が存在することになる。

 

・・・え。

加盟している塾があまりにも少ない気がすることに驚く。

全体の1〜2%の塾経営者からなる組織。

残りの98%の塾の意見はどうなるのだろう?

そこで出している「自主基準」をどこまで根拠に出来るの?

本当に信じるべきなの?

と思う方がよっぽど自然な気がする。

そもそも知らない人の方が多いんじゃないかなとも思う。

 

まずは加盟している塾がきちんと対応方針を守って、

信頼されるようになって、知名度が上がり、

全国の塾が入会するようになりルールを作り、

その上で切磋琢磨する、というのが正しい姿に思える。

考え方は人それぞれだからかなり難しい話だけど。

 

そして思うのは、

この機関が先日の「第三者委員会」になればいいのかなということ。

 

「合格実績」の基準もこの全国学習塾協会で示されているのだけど、

臨海セミナーにしろステップにしろ、加盟はしていない。

つまりその自主基準を守る義務なんてないのだ。

何故そこだけ遵守が求められるんだろう?と思う人がいてもおかしくない。

だから実際に、

合格実績を使っての印象操作をどの塾も多少なりともしているし、

臨海セミナーだけを責めるのは少し違うのかなと改めて思う。

 

一方でこれは「モラルの問題」だからという話に対してはその通りだと言える。

だけど曖昧な基準で逃げているだけであって、

法的根拠にもならないように思うし、訴えた際の筋も事態の収まり方もおかしい。

「生徒を使った勧誘とリスト化、しつこい・悪質な勧誘」

の方が論点になるべきだし、

今後、お互いの共同声明にあった内容がきちんと出来ているかを見る機関として、

「全国学習塾業界」が経済産業省のもとで行えば筋は通ると思う。

 

 

何というか、

それぞれがやっていることに責任を持って、

「生徒に対して真摯な塾」が多くなればと思う。

僕も頑張ろう。

雑談になりましたが、ありがとうございました。