受験×勉強×塾

初めまして!学習塾の中で教育に携わる「現役塾講師」の一人として、受験関係の話を中心に、塾の先生としてのあり方や良い塾の選び方、また勉強の方法などを日々考えています。自分にとっての戒めにもして日々精進…!記事タイトルの「」は塾業界等、『』は塾のリアルについて書いています。

「中学受験2021総括」×「コロナ禍と塾の先生」×「合格と受験の意味」

前回の更新から大分時間が経ち、

受験会場におけるコロナでのクラスターなどもなく、

無事に中学入試のメインシーズンを終えたように思う。

もちろんまだ追試験だったり、一部募集はしていたりする。

だけどまぁ各塾はすでに合格実績を出し始めているし、

もう次の学年も「来年の受験」に向けてスタートしている。

今回はひとまず受験のざっくりの振り返り。

 

全体的な話を振り返ってみれば、

思っていたよりも去年までと変わらない人数が受験。

昨年との対比でいえば、

東京:101.8%、神奈川:99.2%、千葉:95.2%、埼玉:99.0%

で合計99.6%となったそうだ。

受験者数自体が増えていることを考えれば、

午後入試だったり、後半の入試だったりに臨む生徒は少し減ったのかもしれない。

それでも例年通りの受験に近い形で行われたということ。

 

もちろん学校ごとにとても多くなった学校も、逆にとても減った学校もある。

今回最上位校で言えば、麻布や聖光や雙葉といった学校でも大きく人数を減らしたり、

開成ではなんと200人弱の欠席者が出たりしている一方で、

桜蔭やフェリスなどは倍率が上がっている。

本当に学校によって随分違う。

もちろんコロナに対しての学校側の対応も関係していると思う。

 

概況で言えば、最上位校より上位・中堅校へと流れていること、

付属校人気は続いていること、

中堅では男子校や女子校も人気を取り戻しつつあること

あたりは今年の受験を通じても感じた。

特に日大豊山をはじめとする日大系列の学校の上がり幅は変わらず。

後は高輪や独協などの中堅校も上がり続けている。

一方で田園調布学園東京女学館世田谷学園攻玉社など、

大きく下がった学校は来年の学校側の戦略が気になる所。

 

 

とまぁ肌感覚で感じたことを書いてみたが、

「受験プランの組み方が難しかった」というのが本音。

特に中堅くらいでの勝負をする生徒にとってはとても大変だったと思う。

塾の先生としては来年以降への参考にしないといけない。

 

その反省の中で受験生にとって想像以上に大きいものだと感じたのは、

「受験応援の価値」だ。

 

今年はコロナ禍ということで学校側から応援は禁止。(駅立ちをした塾もあったらしいが)

そのため、

いつもは勇気をもらえて、少し笑顔を取り戻すはずのタイミングで、

子どもは緊張につつまれるばかり。

頭が真っ白になった子どもはそのままテストに臨み、

2回目以降は精神的な疲れを癒せないままテストに臨む。

「力を出し切れていれば」という言葉を残した生徒も多かったのかなと思う。

毎年当たり前に「受験応援」をしていたが、

本当に心強いものだったのだなと子どもの話を聞いていて思った。

 

来年がどうなるかはわからないけど、

「Zoomでの受験応援」なり、

「受験会場で読む手紙」を作るなり、

普段からの「ルーティン」を決めておくなり、

精神面にしっかり寄り添えるような配慮を考えていかないといけないと思う。

 

 

さて。

自分が見ていた受験生。

第一志望かどうかは人によるが、自分の偏差値以上の学校には合格した。

元々行きたい学校でない生徒ももちろんいる。

実際に進学するかどうかも本人次第。

 

だけどみんないい顔をしていた。

 

勉強嫌いで座っていることすら嫌だった生徒が、

「受験勉強が楽しかった、もう1回やりたい」と笑って話していた。

受験勉強を始めるまでは何を言われても響かなかった生徒が、

「上の学校にチャレンジしたいから受験させてほしい」と自分から言い出した。

 

あぁ。これが成長か、と。

「中学受験をした意味」は思った以上に大きかったのだ。

きっとこの子たちは中学校に入っても伸びる。

そう思わせてくれたことに感謝もしたいし、救われる部分でもある。

 

以前にも書いた通り、中学受験はゴールではない。

もちろん、

行きたい学校への合格という「結果」が出なければ何の意味もないという人もいる。

間違ってはいないかもしれない。

 

だけど僕は、

「結果」も「未来」も1つじゃなくていいと思う。

望んだ未来と違っていてもそっちの方が良いこともある。

だから自分の出した結果に誇りを持って欲しい。

 

 

また新しい学年も頑張ろう。

ありがとうございました。