受験×勉強×塾

初めまして!学習塾の中で教育に携わる「現役塾講師」の一人として、受験関係の話を中心に、塾の先生としてのあり方や良い塾の選び方、また勉強の方法などを日々考えています。自分にとっての戒めにもして日々精進…!記事タイトルの「」は塾業界等、『』は塾のリアルについて書いています。

「声かけの仕方」×「頭の良い子とそうでない子」×「しか」と「も」の差

「100点中53点も取れた」

「85点中32点しか取れなかった」

 

今日算数の過去問を一緒に解いていた中で、

子どもたちから出てきた言葉。

 

解いている問題もその子のレベルも違う。

上の子は東京電機大学中学の過去問。

本人の偏差値は首都模試でも40前後なので10以上の格上挑戦。

算数はあまり得意ではない女子。

下の子は開成の過去問。(85点で分かるかもだけど)

本人の偏差値は以前一度受けたSAPIX模試で4科目50前後。

算数は60超えてがこちらも格上挑戦。

ただ麻布などでは合格点も既に出しており、

前回の開成の算数は67点だった。

 

 

これは、どちらの反応もよくあるものだと思う。

いつもより良かったから「も」という反応をしているし、

前回と比べ出来なかったから「しか」という反応をしている。

とても純粋な子どもの感覚だと思う。

 

ただ「受験」というタイムリミットがあるものを考えた際、

より正しいのは「しか」という反応であることは間違いない。

 

「53点『しか』取れなかった」

 

と思えるようにならなければ、その科目はそれ以上伸びない。

自分で勝手に上限を決めているのだから当たり前だ。

上位の生徒はそれを自然とわかっているし、

自分の力にプライドも持っている。

こういうところに大きな差が出てくるのだなとしみじみ感じる。

 

 

さて。ここで問題が起きる。

「声のかけ方」をどうするかということ。

 

塾の先生という立場である以上、

生徒が自然に成長するのをただ待つというのは職務放棄と一緒だと思う。

ちゃんと「しか」という感覚を持てるようにして、

その子の自信や自己肯定感を強めてあげることが責務と言える。

 

ただ。

「算数を得意としていない生徒が格上挑戦で、半分以上の点数を取れた」

という事実をまずはちゃんと見ないといけない。

普段からの努力の結果がそこにあるのだ。

だから本人の頑張りを心から褒めてあげることは忘れてはいけない。

この一手があるかないかで信頼関係は大きく変わる。

 

そしてその後に

「でもこんなん通過点でしょ?」

とさらっと言う。

浮かれている暇はないのもそうだし、

何より限界はもっと先にあると先生側が信じていることが伝わる。

 

そこからスイッチが入って楽しそうに勉強し始める瞬間を見るのは楽しい。

 

 

一方で「32点しか」取れなかった生徒。

解き直しをすぐにさせ、原因を自分で探させる。

悔しそうにしている部分があれば、ちゃんと言葉にして吐き出させる。

 

「別に期待してないしいいんじゃない」

と煽るような言葉を相手の性格に合わせて、時には言ったりもする。

 

最後に「何やればスッキリする?」と聞いてみたら、

「過去問もう1本解く」とさっきより本気で解き始めていた。

これで十分。

頭の良い子はちゃんと切り替えられる。

 

 

とまぁ塾の先生にとって「声かけ」スキルは基本だと思うし、

一番重要なものにもなり得ると思う。

もちろん声のかけ方は先生によっても、

相手にする生徒の性格や学年、信頼度によっても違う。

少なくともそれを見極められるようになってから、受験に関わるのが正しいと思う。

研修とかでやれば良いのに。

 

 

後は、今日のその子どもの声から、

成績上位の生徒とそうでない生徒の大きな差は、

「悔しがれるか」と「諦めないか」という部分にもあると感じた。

要はメンタルでいくらでも上下はするということ。

これはとても救いがあるなぁと思う。

 

難しいのは「悔しいと思いなさい」と言ったからと言って、

「分かった!」といかない部分。

こればっかりは時間が必要だと思う。

 

 

コロナ禍で大変な受験だけど、よく考えて、

全力でぶつかっていきたいと改めて思った。

明日も頑張ろう。

ありがとうございました。