受験×勉強×塾

初めまして!学習塾の中で教育に携わる「現役塾講師」の一人として、受験関係の話を中心に、塾の先生としてのあり方や良い塾の選び方、また勉強の方法などを日々考えています。自分にとっての戒めにもして日々精進…!記事タイトルの「」は塾業界等、『』は塾のリアルについて書いています。

「合格のためにできること」×「全落ちと中学受験」×「抑え校と保護者」

コロナ禍の中学受験。

関西は既に結果が決まり、

埼玉・千葉受験も1月入試は終わり、一部の入試が残るのみ。

そして、いよいよ3日後から東京・神奈川入試本番が始まる。

ここまで来れば、

難しい問題を解く練習をしたり、新しく知識を入れたりするよりも、

当日に向けての心構えをしっかりすること、

メンタルや体調面を万全な状態に持っていくことの方がずっと大切。

上手く乗ることができれば想像以上の結果を出すこともある。

もちろんその逆もあって、

不安な気持ちや緊張に押しつぶされて力を出しきれない場合もある。

 

だから塾によっては「壮行会」という形で奮起を促し、

一種の興奮状態のような、

「何とかなる」「できる」という雰囲気に持っていこうとする。

それでも不安な子のために、

最後の激励で「受験応援」に行く。

握手をして一緒に闘っているような「安心感」と戦場に行く「勇気」を与える。

他の塾の生徒には少しだけ圧も与えながら。

 

ただ、コロナの影響で今年は受験生が「自分で」精神状態を保つしかない。

保護者の持つ役割も例年以上に大事になる。

全受験生が自分の力を出し切れるようサポートをして欲しい。

塾側も最後まで声をかけ続ける。

少しでも自信をつけられるような言葉を。

あるいは今までの頑張りを思い出させられるような言葉を。

 

僕自身は、普段から「思ったことを伝える」ことをしている。

本気で怒ったり、何度も泣かせたり、辛辣な言葉を並べたり、、

基本は緩く優しいと生徒からも良く言われるが、

そういう「厳しい」側面を常に見せるようにしていた。

あとは油断をしないように「褒めすぎない」ことも意識している。

そんな僕も

「ここに来てようやく覚醒したね」

「やっと受験生になったね」

「行きたい学校に十分届く」

「今までの頑張ってきた自分を思い返してみて。何が不安なの?」

といった言葉を今年もかけることができている。

これはつまり、今年の生徒も「本気で」頑張っているということ。

受からないと思ったら、僕は3日前でも「受からない」という。

気を遣っても仕方ないなら現実をきちんと伝える。

伝えるこちらも苦しいし、涙がこぼれそうになることもある。

だからこういう言葉をかけさせてくれたことがとても誇らしい。

 

 

さて。

そんな中でも「全落ち」という言葉が受験の中ではある。

要するに受けた学校に全て落ちてしまうことで、

中学受験の場合は私立を諦め、公立に行くことになる。

偏差値が高い子であっても、

偏差値が低い子であっても、

受験の仕方次第でこれは誰にでもあり得る。

 

そんな「全落ち」

当然の如く、子どもにとってはとても辛い。

早い子では1・2年生から、

一般的には4年生くらいからずっと頑張ってきたのに、

どこも受からず、何も残らずに終わってしまう。

「小学6年生」にとってはとても重たく、

トラウマにもなりかねないし、全てが嫌になっても仕方ない。

「受験に向けてやってきたことは無駄にならない」とか

「合格だけが全てじゃない」とか

「頑張っただけで十分えらい」とか

そういうことを言うかもしれないが、そんなのはただの綺麗事。

当人が望んでいることはもっと別のことだと思う。

だけど以前書いたように男子の7人に1人はこの状態という記事もある。

「起こり得る現実」だと思っておくことが大事。

 

どうすべきか。

塾側の出す対策は「抑え校」の設定。

偏差値的に確実に受かると思われる学校を受けることで、「全落ち」を避ける。

第1志望を軸に、空いている日程で別の学校を受ける。

午後入試は特に人気になりやすい傾向。

このスケジュールの立て方・提案の仕方によって、

塾側のレベルがある程度わかる。

「なぜその学校なのか」

偏差値だけで決めているのはちょっと微妙。

問題形式だったり、倍率だったり、その子の性格だったり、

そう言った部分をどこまで加味して話してくれるか、

あるいは最後まで寄り添ってくれるか、

切羽詰まっている時だからこそ、塾を選ぶ時の大きなポイントになる。

 

保護者側がすべきことは、

「子どもと一緒に受け止めること」だと思う。

最後まで子どもが頑張って出た結果が「全落ち」なら、

「何で落ちたの?」とか

「あの時ああしてれば」とか

自分の不安や不満を子どもにぶつけてはいけない。

辛いのも悲しいのも保護者以上に子どもの方がずっと感じている。

だから「次」に向けてどうしたら前向きに歩き出せるか、一緒に考えてあげる。

良くも悪くも中学受験は全てじゃない。

「全落ち」から学ぶこともたくさんある。

保護者の関わり方次第でプラスになることも勿論ある。

出来ることなら、

「お疲れ様。たくさんご飯食べて、ゆっくり寝よう。」

と労いの言葉をかけてあげて欲しい。

そうすれば子どもは立ち直れる。

 

 

ただもう一つ。

「抑え校」に行くべきか否か。

結局行かないのなら受けるだけ無駄じゃないかと言う発想をする人もいる。

僕自身も大学受験についてはこちらの考えに近い。

だけど中学受験なら「抑え校」をきちんと作って

「合格」してから改めて決めたらいいと思っている。

仕方なく行ったつもりの学校が、自分にとってすごく良い学校かもしれない。

プライドが許さないのなら「抑え校」に行かなくても良い。

 

何が大事かと言うと、

「自分で選んだ」という事実である。

 

ここだけは全ての受験生に考えて欲しい。

通うのは保護者ではなく自分自身だから。

自分で選択したのならある程度納得はできるし、入ってからも頑張れると思う。

だから「抑え校」の設定はいくかどうかは別にして、必要。

 

 

3日後から始まる入試で、

受験生一人ひとりが納得のいく結果になることを心より願いたい。

 

僕もできることをしよう。

ありがとうございました。